座席指定のない特急券をお持ちの方は

 というのを覚えていない方も増えてきたと思う。
 昔、小田急ロマンスカーはキャンセル席の発売を手計算でやっていた。
 当時ロマンスカーの列車の入り口を3カ所にかぎられていて、乗客の特急券を入り口で検札し、同時にカウンターを押す。
 すると、特急券が売れていても、実際に乗っていない人数が割り出せる。
 その分をキャンセル席として販売していた。

 写真はそのキャンセル待ちのコーナー。
 かなり昔の話で、いまはシステム化されて席がどう売れているかを車掌さんが車内で確認し、検札も省略となった。そのために列車は10両・11両全ての扉を開け、乗降時間は格段に短くなった。正時発のロマンスカーの乗車が遅れてその続行便の急行まで遅れたりしていた時代が夢のようである。
 で、当時、発車時刻ギリギリかちょい過ぎにキャンセル客を乗せ発車したロマンスカーの車内ではには『座席指定のない特急券をお持ちの方は、空いている席にお座りください。なお、座席指定の券をお持ちの方がいらっしゃったら席をお譲りください』、と車掌さんが放送する。
 当時は複々線区間もほとんどできていなくて、小田急線の混雑は酷いものだった。
 車両の長さに18メートル級も混じっていた時期に合わせ、新宿駅の急行ホームには乗車位置案内表示灯というのが床に埋め込んであり、点滅しているものが次発の乗り口、点灯しているものが先発の乗り口などとやっていた。鉄道ピクトリアルで鉄道関係の特許を調べるという企画があり、小田急の取った特許としてその乗車位置案内灯と、踏切の列車種別による開放設定装置などが取り上げられていた。
 それもこれからはOM-ATS後継の新ATSによって変わっていくのだろう。1000形が出て、2000形、3000形とどんどん銀色の電車が増え、とくに3000形のあの真四角なデザインにはちょっと違和感があったが、しかしそれも見慣れた。
 そして今度は新4000形となる。時代は着実に交代していく。